以前からコナラを玉切りしていると、時々異臭(腐敗臭)が気になることがあったのですが、「劣勢木で樹勢が弱まり腐朽菌が侵入したのだろう、こいつはやがて枯れる樹だ。」くらいに考えていました。
先日伐ったコナラが、一本は電線電柱に偏心し、もう一本は住宅に偏心している二本立ちでした。著しく伐倒方向が制限された樹でしたので注意深く観察してみると、どう見ても光環境に恵まれ樹勢もあり、周りの樹に優占していると思われるのに、どちらの樹も幹に縦方向のクラックが1m以上が入っているのです。
調べてみると、このクラックは「ヘビサガリ」と呼ばれ凍裂によるものだと解りました。
凍裂とは樹幹内部の水分が凍り幹が避ける現象で、その割れは心材にまで達し、変色菌や腐朽菌の侵入を許すことになります。
この割れを修復するために、癒合(ゆごう)組織が割れに沿って形成されますが、癒合組織が薄いため、その後再び凍裂により割れてしまい、その繰り返しにより、割れに沿って盛り上がった「ヘビサガリ」と呼ばれる症状が、樹木表面に確認できるようになるのです。
写真右上が割れによる変色部分と癒合組織です。また、心材部分の含水率が異常に高いこともわかります。
この水分分布の異常が凍裂の原因です。
通常含水率が低いはずの心材部分が、異常に含水率が高い材を「水食い材」と呼ぶそうですが、その発生原因は特定されていないようです。
凍裂による割れが伐倒方向に影響することも考えられますし、利用価値も下がります。
凍裂は壮齢(40年生)に達したころから発生することが多くなり、またコナラは40年生以上になると無萌芽株が多くなるといわれていますので、30年生前後で伐採を繰り返すことが重要だと再認識しました。
伐って燃やせば「森は守れる」(田中淳夫著)ですね!
おまけ。
今日もまた雪かきでした。
「あ~しんど。」
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